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 Diary 2003・2月12日(WED.)

皺取り

 オイシンは悩み多き 26 歳。自分の顔が皺っぽいのが気になるさうだ。そこで、オパールのカウンターにて、トモコの美容相談が始まる。

「さうねえ、やはりボトックス注射ぢやないかしら。マドンナがやつてから、一気に広まつて、今では日本でも大流行よ。」

「へー、それは、どうするんですか?」

「ボツリヌス菌を注射して、筋肉を麻痺させるのよ。筋肉が麻痺したら、皺もできない、といふわけ。」

「ええー、でも、確かボツリヌス菌って、危ないんぢやなかつたでしたつけ?」

「まア、毒よ。生物兵器として使はれてゐるわね。」

「そ、そんな! 嫌ですよ!」

「あら、さう。ぢやあ、ゴアテックスを注射するのはどうかしら。あれも、肌がツルツルになるさうよ。」

「さうですかー。ボク、頬のあたりに注射したいんですけどねえ。」

「あー、頬はねえ、やめてをいた方がいいんぢやない。能面みたいな顔になるわよ。」

「マイケルみたいなもんですか。」

「さうさう! きつとマイケルは頬に注射しちやつたのよ。それであんな顔に…可哀想マイケル。最近はビデオでも顔を隠してゐるし、本人も苦しんでゐるわよ。」

「さうですねー、でも裁判に引つぱり出されて、無理矢理さらしものになつてゐますよねえ。」

「ああ、可哀想。」

「ううん、哀れ。」

 今日は、とても暇な一日であつた。

小川顕太郎 Original: 2003;