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 Diary 2003・12月25日(THU.)

レニ・リーフェンシュタール
ART & LIFE

 みなみ会館にて『レニ・リーフェンシュタール ART & LIFE』を観る。これは、レニが 100 歳の時に撮り、遺作ともなつた作品『WONDER UNDER WATER 原色の海』と、『レニ』といふ優れたドキュメンタリー映画を撮つたことのあるレイ・ミュラー監督による、これもレニに関するドキュメンタリー映画『HER DREAM OF AFRICA アフリカへの想い』の 2 本立てプログラムである。今年の夏ぐらゐから待望してゐた映画であり、これらをスクリーンで観られたことに対して、RCS には猛烈に感謝したい。ありがたう!

 さて、最初は『WONDER UNDER WATER 原色の海』。海の世界の美しさに魅せられたレニが、71 歳の時から 30 年近くに渡つて 2000 回以上も海に潜つて撮り続けた作品である。ストーリーも説明もなく、ただただ美しい海の世界の映像が、ジョルジオ・モロダーの音楽にのつて展開する。ジョルジオ・モロダーか…、ちよつとゲンナリするが、まァ、それほど悪くはなかつた。音楽のことはともかく、無駄に美しい海の生物たちは、正に驚異である。無駄に美しい、と書いたが、それは、海の世界は光りが少ないから色があまり意味をなさないんぢやないか?と思ふからだ。それなのに、なぜこんなに絢爛な色が氾濫してゐるのか。考へられないやうな奇妙な形に満ちてゐるのか。地上の世界よりも、ずつと豊かな色と形に溢れてゐるのではないだらうか。45 分といふ短い作品だが、堪能した。

 次は『HER DREAM OF AFRICA アフリカへの想い』。レニは 70 年代にアフリカのヌバ族に惹かれ、彼らと生活を共にしながら写真とフィルムに彼らを収め続け、その結果として作られた作品が一大センセーションを起こしたことがある。そのヌバ族を、98 歳になつたレニが再訪する様を撮つたドキュメント映画だ。内容は、また各自で観てもらふとして、私がこの映画を観て大いに感動した部分について述べたい。レニは波乱の人生を送つた女性である。ナチスの(結果としての)プロパガンダ映画を撮つてしまつたがため、戦後はずつと迫害され続けた。そんな世界から逃げるためか、アフリカの奥地へ、海の底へと赴き、そこにある「この世のものとは思へない美」を凝視し続けたのだ。そんな彼女が、映画の最後に、若い人たちへのメッセージを、と請はれ、「どんなことがあらうと、人生を愛し、肯定すること。自分の好きなもの、美しいものを絶えず追ひ求めること」といつた内容のことを喋るのである。私はこのレニの言葉の重さに、感動したのだ。これぞ、正に無限成長哲学ではないか。レニは、ほんとに美しかつた。

 ワリイシさんも映画を観に来てゐたので、トモコと 3 人で、コリスに行つてワインをあける。メリー・クリスマス! …ぢやなくて、レニに乾杯!

小川顕太郎 Original:2003-Dec-27;