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 Diary 2003・12月7日(SUN.)

マトリックス・
レボリューションズ

 萎える気持ちを盛り立て、盛り立て、これは年末の恒例映画鼎談のためだ! 自分の義務なのだ! と自らを叱咤激励しながら、行つて参りました、観て参りました、『マトリックス・レボリューションズ』。『マトリックス』シリーズ完結編。前作のあまりの下らなさに、どうやつても今作を観る気が起きず、もう払ふ映画代が惜しくて惜しくて、泣きさうになりながら、それでも 200 円の割引券を使つて 1600 円を払ひ、暗い気持ちで映画館の中に吸ひ込まれていつたのでした。…

 が、そこまで絶望してゐたのが幸いしたのか、前作よりは楽しめました。確かに、ストーリー的にはもう無茶苦茶! 穴だらけの酷いものでしたが、それは覚悟済み。何といつてもミフネ船長率ゐるロボット軍団と、イカみたいな敵ロボット群との闘ひのシーンがなかなか素晴らしく、しばし呵々と大笑、これで 1600 円はよしとしやう、と密かに納得したのでした。さらに! これを言ふと「えー!!」と呆れられるかもしれませんが、そのー、ネオとトリニティが二人で船に乗つて敵陣の真ん中に突つ込む話も、個人的には結構良かつたんですよ、ハイ。ま、そりや、多少くどいし、くさかつたですけどね、まー、ねー、だつてアレ、『さらば宇宙戦艦ヤマト』でせう? 古代進と森雪が、二人で(森雪は死んでゐたけれど)白色彗星(だつたかな?)に突つ込むといふ。だからトリニティが先に死んだ時は、やつぱり! と、おかしかつたのでした。うーん、私もベタだなァ…ま、笑つて下さいな、ハハ。とにかく、この 2 点で、前作よりは楽しめたのでした。

 しかし! さういつたもの、全てを台無しにするやうな酷いシーンが、その後にあるのであつた。ネオ対エージェント・スミスのラストバトル? うーん、あれも死ぬほど退屈な代物だつたけれど、もつと酷いのがある。ネタバレになりますが、ネオは結局、機械軍団にとつても脅威となつてきたエージェント・スミスを自分が倒すことと引き替へに、ザイオンにゐる人間たちへの攻撃を止めるやう機械軍団の親玉に申し入れ、受け入れられます。で、スミスを倒し、ネオは死に(死んだんだよね?)、機械軍団はザイオンから引き上げていく。と、ザイオンの人々は「WAR IS OVER !! 戦争は終はつた!!」と大喜び、お祭り騒ぎを繰り広げる…。ひ、ひどい! 私はこのシーンを観てゐて、気分が悪くなりました。だつて、何ひとつ問題は解決してゐないぢやないか! 機械による人間支配はそのままだらう? 一体君たちは何のために闘つてゐたのか。そりゃ、ザイオンは当分安泰だらうが、もしまた機械支配から自由になりたい人間が産まれて、その人間がザイオンに逃げて来たら、追ひ返すのか? 俺たちの安泰をおかすな! とか言つて。

 この「WAR IS OVER !! 戦争は終はつた!!」と喜び叫ぶ人々が、バッチリと今のアメリカ、手前勝手なイラク戦争を「終結」させて「WAR IS OVER !! 戦争は終はつた!!」と浮かれてゐるアメリカに重なつて、私は気分が悪くなつたのであつた。何も問題は解決してゐない、どころか、よけいややこしくなつてゐるだらうが。戦争終結後の方が、戦争中よりたくさんのアメリカ兵が死んでゐる、といふ事実も、それを物語つてゐる。ホント、よくこんな気持ち悪いシーンを撮つたよなァ、と、頭がクラクラしました。

 こんな無惨な最後をみせた『マトリックス』シリーズに対して、やはりタランティーノは偉い! 「怨み」といふ主題に懸けて、キル・ビル=キル(殺す)・ビルディング=ツインタワービルの爆破、を肯定し、イスラムの人々の感情(アメリカへの怨み)を救つた。さすがである。さて、Vol. 2 ではどうなるのか。タランティーノのことだから、間違つても「WAR IS OVER !!」とは叫ばないと思ふけど……ううん、楽しみー。

小川顕太郎 Original:2003-Dec-8;

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