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 Diary 2002・10月14日(MON.)

堪忍

 コータローくん来店。興味深い話を教えて貰う。京都で昔から客商売をやっているお店には、よく「堪忍」という字が店内に書いてあるのだという。コータローくんの実家も客商売をやっているので、もちろん「堪忍」と書いてある。で、これはどういう意味かというと、無茶なお客さんが来た時に「グッと我慢(堪忍)」して笑顔で対応する、という意味ではなく、「堪忍やけど(悪いけど)、おたくとは商売できまへんわ」という意味なのだそうだ! うーん、さすが京都。

 しかし、私は京都に来た当初、すでに同様の教えを受けていたのであった。それは、まだ喫茶店「パチャママ」をやっていた頃のオオヤさんからで、オオヤさんは概略次のように語った。こんな商売やってると、イヤーな客が来る時があるけれど、そういう連中にはまともに対応する必要はない。コーヒー一杯 350 円(だったかな?)を注文したくらいで勘違いするなと言いたい。お茶一杯で無茶を言いたいのなら祇園に行け。そこでお茶一杯に何万円も払ったら、それなりに無茶もきいてくれる。場所柄をわきまえなさい。

 私はこの教えを聞いた時に、なーるほどこれは正に商売の真理であろうと感心したのだが、実はこれは昔からある京都での商売の教えに則ったものだったのだ。消費者=お客様を甘やかしてばかりいると、結局商売も腐っていく。店側がお客さんを育て、あるいは育てられ、お互いに高めあっていくのが理想の商売だろうが、今はそのような商売はなかなか望めない。とにかくお客さんを甘やかせ、痴呆化して、少しでもお金を吸い取ろうとする。お客の側も、コンビニエンスな満足を求める。かくして商売は腐っていく。これぞ資本主義の退廃だ‥‥などと書けば、オヤジの愚痴みたいですね。ははは。

 あー、堪忍、堪忍。

小川顕太郎 Original:2002-Oct-9;