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 Diary 2002・11月11日(MON.)

凶気の桜

 行ってまいりましたよ、『凶気の桜』(窪塚洋介主演・丸山昇一脚本)。大宮東映まで、萎える気持ちを駆り立てて、頑張って行ってまいりました。実はババさんのレビューを先に読んでしまい、だいたいどのような映画なのか、どれぐらい下らないのかが分かってしまって、かなり行く気が喪失していたのです。しかし、この映画、私が行かないで誰が行くのか! と思い、行ってまいりました。まあ、私が行かなくても、窪塚洋介ファンの女の子が行くでしょうが。さらに言うと、ショウヘイくんに貰った無料券で行ったのですが、とにかく、観てきたのでした。

 冒頭、いきなり『横浜 BJ ブルース』(松田優作主演・丸山昇一脚本)で始まり、うわー、丸山昇一、いきなり自己パロディやってどうすんねん、これは面白いのか、そうでないのか? とガツンとやられました。以後、拙い演出で、しょうもない話が延々と語られるのですが、まあ、なんというか、それなりに面白く観られましたよ、実は。やはりババさんの普段から言っている、「映画は常に最悪の状況を想定して観るべし」という格言は正しいと思いました。ババさんのレビューに感謝。

 自称「ナショナリスト(右翼ではなく)」の若者達が、渋谷にたむろする「腐った若者達」を狩る。が、そのうちにヤクザの抗争に巻き込まれ利用されていく…といった話なのですが、まあ、なんていうか、世間で騒がれている(?)「右翼」「ナショナリズム」といったものには何の関係もない話でした。ファッションとして扱っているだけで、窪塚洋介演じる山口も、ナショナリストでも何でもない。というか、多分この映画を作っている人間すべてが、ナショナリズムとは何か、という事が分かっていないのでしょうね。だから、暴力的だが頭のからっぽな若者が、狡猾な大人に利用されて自滅していく、という陳腐なストーリーになったのでしょう。それならそれで、アクション映画に徹すれば良かったのですが、それも中途半端。っていうか、アクションはまったくダメ。うーん、つらい。

 この映画には、日本語ラップがサントラに使われているのですが、これはヒップホップにはまった窪塚洋介の企画によるものでしょう。本人いわく、この映画のテーマは「ヒップホップと暴力」らしいですから。まあ、視点は面白いけれど、どうにも、ねえ…。ヒップホップとも何の関係もない映画でしたよ。BGM として流れるだけで。暴力も、表面的に「暴力を振るっているシーン」があるだけで、ちっとも暴力的じゃない。……うーん、やはりダメなところばかりか?

 でも、やはり窪塚洋介は良かったですよ。世間的には、勘違い野郎としてバカにする風潮にあるみたいですが、その「勘違い」が演技面ではプラスに働いているのではないか。ソツのない、どうでもいい演技をする俳優に較べたら、何倍もいい。と言うわけで、窪塚洋介の今後に期待して、日記を終えます。

小川顕太郎 Original:2002-Nov-13;