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 Diary 2002・5月20日(MON.)

教科書でおぼえた名詩

 昨日の続き。みたいなものだが、最近のゆとり教育対応の教科書って、詩はどうなっているのだろう。夏目漱石が消えて、松任谷由実が入るくらいだから、いわゆる「名詩」は消えているんじゃないだろうか。そうだとすれば、それもまた問題だ。

 実を言うと、今年に入ってからの私の愛読書ナンバー 1 は、『教科書でおぼえた名詩』(文春ネスコ編)です。この本は、「昭和 20 年代から平成 8 年までに日本の学校で使われた中学・高校の国語の教科書・1500 冊あまりから、だれでも 1 度は耳にしたことのあるなつかしの詩歌をよりすぐった愛唱詩歌集」だが、これがまた素晴らしい!

 もちろん、どの詩も一度は目にしたことのあるものばかりだが、はっきりいって、昔はその良さがちっとも分からなかった。だいたい、中学生や高校生で、教科書に書いてある詩を読んで感動する奴なんているのか? って、いるかもしれないが、私はそうではなかった。詩なんて、訳が分からん、つまらん、そもそも散文詩にポエジーなど宿りようがない、などと、分かりもしないくせに分かったような理屈をこねて、ひたすら詩は敬遠していた。

 しかーし、この歳になって改めて読み直してみると、もうほんとーに素晴らしい! ページをめくるたびに衝撃を受けて、椅子から落ちそうになる。これは凄い。考えてみれば、感受性の未熟なガキンチョに、詩の良さなどそうそう分かるはずがない。が、分からないからと言って、読まなければ、一生未熟な感受性のままだ。だから、分かろうが分かるまいが、とにかく教科書にでも「名詩」を載っけて、子供の頃から読ますべきだろう。サザンやユーミンなんて、わざわざ教科書に載せなくても、そこらへんで流れているじゃないか。ま、それもまたどうかと思いますが。

 そういえば、戦前の教科書には明治天皇の和歌が載っていたんですね。明治時代の最大の歌人といえば、生涯 10 万首よんだといわれる明治天皇なので、当然といえば当然ですが、それにしても、それは理想の形だ。というか、日本の教育で、天皇陛下の和歌を教えないなんて、どう考えても変でしょう。

 というわけで、明治天皇の御製

さし昇る朝日の如くさわやかに

もたまほしきは心なりけり

 うーん、素晴らしい。

小川顕太郎 Original:2002-May-22;