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 Diary 2002・6月27日(THU.)

東大寺のすべて

 奈良国立博物館にて行われている、「大仏開眼 1250 年 東大寺のすべて」展に行く。会場に踏み込み、説明文の書いてある衝立をまわりこむと、いきなり戒壇院の四天王像が目に飛び込んできて、脳内にアドレナリンが噴出した。いや、魂(ソウル)が共振したというべきか。私は基本的に四天王像は好きなのだが、たぶんこの戒壇院の四天王像の実物を見るのは初めてだ(少なくとも、意識して見たのは初めてだろう)。かっこよすぎる。4 体の像から放出されている、オーラというか気というか、とにかくソウルフルな波動は凄くて、思わず私は両手をあげて、全身で受け止めてしまったぐらいだ。トモコも「踏みつぶされている鬼たち最高! ポーみたい!」と、最大の誉め言葉を発している。

 とまあ、いきなりこんな調子で始まったのだが、この展覧会は楽しめた。普段なら不空羂索(けんさく)観音の頭に乗っていてよく見えない宝冠が展示されていたり、年に 1 、2 日ぐらいしか公開しない数々の秘像が展示されていたりするし、いわゆる「大聖武」や「紫紙金字金光明最勝王経」などの名筆も展示されている。どれもこれも素晴らしく、やはり天平文化は日本文化の古典なのか、との思いを強くした。

 博物館を出て、大仏堂に向かう。奈良の大仏さんを訪ねるのは、これで何度目か。毎度のことながら、まず南大門の金剛力士像にやられる。大きい大きいと分かっていても、やはり見るたびに「でかい!」と感嘆してしまう。そして、いつもならこの金剛力士像に気をとられて見逃してしまうのだが、今日はそのまま南大門の天井をみる。いや、南大門には天井がなく、吹き抜けになっているのだが、これがまた高い! なんともスペクタクルな空間だ。気持ちを昂揚させながら、大仏堂へ。大仏さんは、いつも通り鎮座しておられた。田中英道が、東大寺の大仏こそ日本文化の象徴だ、日本人のアイデンティティーの柱になるものだ、といった事をどこぞに書いていたが、その通りかもしれない、と思いながら手を合わせる。今回の大仏訪問は、今までのなかで一番よかった。

 法華堂の秘仏・執金剛神像などを見学した後、東大寺をあとにする。

 私とトモコは、10 年ほど前にはよく奈良に遊びに来たのだけれど、その時に必ずといってよいほど夕飯を食べに寄っていたのが「まぐろ小屋」という、まぐろ専門店。小さな店で、御主人がひとりで切り盛りしているのだけれど、抜群にうまい。久しぶりに行ってみたくなり、まだあるかな? という一抹の不安を抱えつつ訪ねてみると、あった。10 年ぶりに、ここのまぐろ料理を堪能する。

 寝不足のうえ、お酒とまぐろをお腹いっぱいにいれたので、私はふにゃふにゃとなる。そのままフラフラとトモコの後をついて奈良の街をさまよった後、JR にて帰宅。早々と床につく。

小川顕太郎 Original:2002-Jun-29;