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 Diary 2002・12月26日(THU.)

Paid Tha Cost
To Be Da Boss

 あー、年も押し詰まって来ましたねー。うーん、えー、ネタもなかなかに、詰まっているんですよ。ははは。んで、ネタが詰まった時は、食べ物の話。あるいは、音楽の話を書くのが私のやり方です。ですので、音楽の話でも書きますか。

 スヌープの新作『Paid Tha Cost To Be Da Boss』について。まあ、これはかなりの話題作、且つ問題作でしてね。まずファーストシングルにネプチューンズを起用しているのが話題・問題になっている。ご存じのように、ネプチューンズは今最も売れっ子のプロデューサーチーム、で、東海岸なんですね。もちろんスヌープはウエッサイ(西海岸)を代表するアーティストの一人な訳で、東海岸と西海岸がバトルを激化させていたころ、『ニューヨーク・ニューヨーク』という曲を歌って、最前線にたって東海岸を叩きまくっていた人でもある訳です。それが何だ! なんで今頃ネプチューンズなんだ! 売れたいがために、ひよったのか! と。実際スヌープは、売れ線に走っています。映画にも精力的に出ているようだし、アメリカではテレビにまで出演しているそうです。さらに! 子供達のためにマリファナを辞めた、と発表し、自らのダーティーなイメージの払拭にも乗り出しているようなので、そりゃ昔からのファンから反感を買うのも当たり前でしょう。スヌープといえば、デビュー時に殺人罪(共犯)で起訴されており、ギャングスターラッパーのイコンとなった人ですから。

 しかし、私は、これらの事にはしかるべき理由があると考えています。実は、スヌープは先頃自らのレーベルを立ち上げ、実質的なボスになったんですね。ボスの仕事というのは、まず自らの下に集まった子分達を食わせることです。それには、まず金を稼がなくてはならない。たとえそのために何かを失うとしても、金を稼ぎ、自分達の集団を維持しなくてはならない。それが出来るのがボスです。そして、私はそういう姿勢を肯定するんですね。偉い、と思う。左側の人達は、否定的ですよ。「封建的」「さみしがり屋なんだ」「自立ができていない」などと言って、そういう関係を否定するのです。だから、左側の人達は、経営者とか政治家とか、ボスが嫌いでしょう? まあ、彼らは、人間はひとりで生きていける、と考えていますから。私に言わせれば、たとえ汚職に手を染めてでも日本の国益を守る、田中角栄のような政治家(ボス)がいなければ、彼らはヌクヌクとそんな戯言を述べることもできないと思いますけどね。それはともかく、私は『Paid Tha Cost To Be Da Boss』というタイトルから、スヌープの覚悟のようなものを読みとり、ちょっと感動したのでした。

 とはいえ、スヌープもアーティストなんだから、内容が下らなければ、どうしようもない訳です。では、その肝心の内容はどうなのか。正直言って、一聴した感想は「うすい!」「散漫だ!」というもの。一曲、一曲はよく聴くといいんだけれど、全体を通した感想が、どうも散漫。ああ、スヌープ、これじゃあ、あかんやん…。と思ったのですが、何度も繰り返して聴いているうちに、印象が変わってきました。とにかく、気持ちいい、と。ほとんど麻薬的な気持ちよさです。よく考えれば、70 分以上ある作品に、気合いがびっしり入っていたら、疲れて仕方がない。実はこれは「THE ROOTS」の新作を頭に思い浮かべて言っているのですが、音楽性は高く、凄い! とも思うんだけれど、一回聴くと、疲れてしまう。そういうのはどうも、私にはしんどい。そういうのと違って、適度に聞き流しつつも、とても気持ちよい、というありかた。これは、もしや…と思い、店に持っていって流したところ、バッチリ店の雰囲気にあいました。素晴らしい。完全にヘビーローテーションです。もしかしたら、これは傑作かもしれない。やはり、私はスヌープを支持します。

 ああ、適当にお茶を濁すつもりが、長くなってしまった…。

小川顕太郎 Original:2002-Dec-28;