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 Diary 2002・4月14日(SUN.)

カンダハール

 朝日シネマにて『カンダハール』マフマルバフ監督を観る。幼い頃にアフガニスタンを脱出し、カナダで大学生をやっている主人公(女性)が、いまだタリバンが健在のアフガニスタンに残してきた妹から「20 世紀最後の(21 世紀最初の、だったかな?)日食の時に自殺する」という手紙を受け取り、妹を救うべくアフガニスタンに戻ろうとする、という話。

 主人公はカナダで大学生をやっているぐらいだから、西欧の価値観を身につけており、中東の人達とずれてしまっている。その「ずれ」と、あまりにも過酷な中東の情勢(地雷で足を吹き飛ばされた人が無数にいる、など)を、淡々と描いており、そこにブラックユーモアが漂う感じは、ブニュエルを思わせる。映像感覚も、洗練されている。

 マフバルバフは、とりあえずどんな思想的・政治的な立場にも肩入れをしていない。そこにある情勢を、ただあるがままに(思想・政治抜きに)描こうとしているがゆえに、微妙にとぼけた感じがうまれている。私は何度かニヤリとしかけたのだが、この作品は本国イランではどのように受け入れられたのだろうか? と考えた。マフマルバフは、その前衛的・先鋭的な作風にもかかわらず、イランでも大衆的な人気を誇る映画監督だが、この作品も、イランの人々に爆笑と熱狂をもって受け入れられたのだろうか。そうとすれば(その可能性はかなりあると思われるが)、そのこと自体がかなり興味深いことだと思った。日本でこの作品がそのように受け入れられるとはとても思えないので。

(しかし、この作品がイランで上映禁止になっている可能性も高い、ということに気が付いた。マフマルバフは、上映禁止作品が多いことでも有名なのだった。なんにせよ、こんなエンタテインメント作品を撮ってしまえるなんてマフマルバフ恐るべし)

 オイシンが、生まれて初めてのパーマを、ロマンザでマツヤマさんにあててもらって来ていた。予想を裏切るお洒落な出来で、ちょっとびっくり。パーマをあてる前に、オイシンは「笑いをとるためですから」と半ば弁解気味に言っていたし、マツヤマさんも「怒りと不安を表現した前衛的なパーマをあてようかな」と言っていたので、そのようなものかと思っていたが、こうお洒落にこられるとは。オイシンもひそかに嬉しそうだ。それにしてもオイシンをお洒落に仕立て上げるとは、マツヤマさん恐るべし。

小川顕太郎 Original:2002-Apr-9;