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 Diary 2001・10月1日(MON.)

マイルス・デイビス

 先日マイルスの事を日記に書いたのと、今年は没後 10 年という事で雑誌などで特集が組まれたりしているのに触発されたのか、無性にマイルスが聴きたくなって、今日はずっとマイルスをかけ続けた。

『オン・ザ・コーナー』『ビッチェズ・ブリュー』『ライブ・アット・フィルモア』…。まあここら辺はいいのだけれど、『カインド・オブ・ブルー』『ウォーキン』『ディグ』あたりになると、ちょっとつらい。いきなり店がジャズ喫茶になったようで、A 面だけ聴いて、すぐ他のレコードに変えたりした。うーん、なんというか、やはり如何にもジャズジャズしたものは、もうつらいなあ。

 ところでマイルス・デイビスといえば、フリージャズ嫌いで有名ですが、私はマイルスのそういう所が大好きなのですね。どういう事かというと、フリージャズっていうのは、やはり左翼くさい訳ですよ。全ての規制を取り払って、混沌と熱狂のうちに一体感を得る、というのがね。そういう左翼くさいというか、ヒッピーくさいものは私も大ッキライなもんで、思想的にもマイルスに共感してしまうのです。もちろん音的な共感が先ですが、音と思想が密接にくっついている所が、面白いと思う訳です。

 マイルスは金持ちであり、シーンに帝王として君臨し、フリージャズ運動に冷淡だったため、マックス・ローチのような左翼ミュージシャンにライブの途中に乱入されて批判されたり、セシル・テイラーのようなインテリに嫌味を言われたりしている。が、マイルスは、そんな事は意に介さない、といった態度で傲然と構えている。メチャかっこいいと思います。

 私はマイルスって、ジャズ界ではどう言われているのか知りませんが、右翼だと思うんですよね。右翼っていうと、誤解を招きそうですが、日本で街宣車に乗って喚いている連中とは違いますよ。あれは似非右翼。本来の右翼は、例えば頭山満のように、他国の人に寛大です。支那をはじめ、アジアの各国と太いパイプを持っていたのも、右翼の人達です。自国の文化・伝統に強い矜持を持っているが故に、他国の文化・伝統も尊重する、というのが本来の右翼です。ちなみに、自国の文化も他国の文化も否定して、新たな普遍的な文化の創造を目指すのが左翼です。

 マイルスも、黒人であるという事の誇りが強かった人で、故に排他的だと批判された事も多々あったようですが、マイルスほど白人ミュージシャンと演った人は、そうそういません。そういうのは、凄く分かるのですね。やはり、私はマイルスが好きだ。とかいいながら、今はソウルを聴きつつ、この日記を書いているのでした。ノーザン最高!

小川顕太郎 Original:2001-Oct-2;