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 Diary 2001・5月6日(SUN.)

浅学者のよろこび

 可能涼介来店。奈良の大和郡山に行ってきたそうなのだが、そこで入った「王将」のセットメニューが全て餃子 2 人前だったことにこだわり、しきりに首をひねる。そんな店が他にあるかどうかを、周りの人に尋ねまくる。その場に居合わせたタケダくんは、返答に窮して「岸和田の『ミニスカ王将』なら知っていますけどねえ。」と答える。なんでも岸和田には女子従業員の制服のスカート丈がすごく短い「王将」があるらしく、地元では「ミニスカ王将」といって有名らしい。「ああ、そんな話をしていたら『王将』に行きたくなってきた!」と言って、タケダくんは帰っていった。

 現在私は大西巨人著『神聖喜劇』を読み終わり、次なる本として吉田武著『虚数の情緒』にとりかかっている。この本はショウヘイくんに借りたのだが、奇しくもババさんとヤマネくんも読んでいる最中で、またしても数学ブームがきつつある。

 私は数学が大の苦手で、学校でも数学の授業はさぼって映画を観に行ったりしていた人間なので、とんでもなく基礎的な事柄が分かっていなかったりして、我ながら吃驚することがよくある。この本を読んでいて、マイナスとマイナスを掛け合わせるとプラスになるのはその方が美しいからという理由に基づく約束事、という件にぶつかって衝撃を受けてしまった。そ、そうだったのか。私はてっきり数学的な根拠があるものとばかり思い込んでいた。

 吉田武によると「本当は『マイナス掛けるマイナス』をどう決めようと構わない。問題は、その様な数学が何かの役に立ったり、それ自身が美しかったり、他の方面への広がりを見せたりするか否かで、その値打ちが決まる。それが数学でいう約束、即ち『定義』の正体である。」ということだ。

 実を言うとこの本は「中学生からの全方位独学法」と副題が付いているように、中学生に向けて書かれた本である。しかし私のようなものには十分高度だし、面白い。これぞ私の「浅学者のよろこび」を満たしてくれる本だといえよう。ショウヘイくんやヤマネくん、タケダくんのような数学の得意な理系の人達が周りに居てくれるのも、ラッキーだ。しばらくは数学の勉強を続けよう。

 そのショウヘイくんは本日、関西ドイツ文化センターで特集上映「ヘルツォークに狂う」のうちの 1 本、『ヴォイツェック』を観てきていた。「もおおお、凄く良かったです」と幸福そうだ。ああ、うらやましい。しかしこの調子なら私は関西ドイツ文化研究センターでは 1 本も観ることが出来無さそうだ。よおし、かくなるうえは‥‥。

小川顕太郎 Original:2001-May-8;