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 Diary 2001・3月7日(WED.)

不貞の季節

 みなみ会館に廣木隆一監督『不貞の季節』を観に行く。団鬼六の同名小説の映画化で、大杉漣が初主演ということでも話題になっていた作品。大杉漣は名バイプレイヤーとしての評価が確立しており、確かにいいんだけれど、「名バイプレイヤー」をいいとか好きとかいうのは、なんだかスノッブくさくて嫌だったので、あまり言わないようにしていた。それがこのあいだの『BROTHER』で切腹をしているのを見てから、一気に大杉漣絶対支持宣言を出すことにしてしまった。凄いよ、大杉漣。多分、三島由紀夫以来でしょう、切腹した現代人。もちろん、大杉漣の場合は映画の中でだが、それでも凄い。あのシーンがあるだけで、『BROTHER』は映画史に残る突出した作品となりえている。現在、したり顔の知識人? 文化人? の方々が『BROTHER』を叩きまくっているが、それも三島が切腹した時と同じ反応だ。ああいった人々が嫌がるだけでも、立派な作品だと思うのだが…そうそう、『不貞の季節』でした。

 これだけ大杉漣のことを褒めておいて、こういうのもなんだが、村上淳が良かった。いいよ、ムラジュン。『ナビィの恋』の時は、だめだなこりゃ、と思ったが、このあいだの『新・仁義なき戦い』といい、今回の『不貞の季節』といい、良い。これは是非ともムラジュン主演の『人間の屑』を観たくなってきた。

 ああ、ええと、そう。妻が外人と浮気をしているんじゃないかと疑った SM 作家の黒崎(大杉漣)が、「くそう! 外人め!! 外人め!!」と叫びながら小説を書くところがいい。さらに、ほんとうは川田(ムラジュン)が黒崎の妻を寝盗っていたのだが、その川田が、あんな毛唐にとられるくらいやったらオレがとったろうと思いましてん、それが日本男児の心意気でっしゃろ、ってな内容のことを言うのが最高! 平岡正明が、日本の SM 小説の基にはアメリカに占領されていたトラウマがある、といった事を書いていたのを思いだす。さらには小島信夫の『抱擁家族』や、周防正行監督の『変態家族・兄貴の嫁さん』を思い出す。ううん、ちっとも集中しとらん。でも最後のブルーハーツの歌には吃驚させられました。

 本日のオパールは驚異的に暇。ショウヘイくんが、何故ですかねえ? と、しきりに首をひねっていた。が、私は来た来た来た! と考える。昔の調子が戻ってきたな、オパール。戻らんでもいいけど。

小川顕太郎 Original:2001-Mar-8;