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 Diary 2001・6月27日(WED.)

京都人だけが知っている

 いま京都中の書店の店頭に『京都人だけが知っている』入江敦彦著(洋泉社)という本が山積みになっていますね。(ちなみにその隣には『新しい歴史教科書(市販版)』関係の本が山積み)こういう売り方をされると、私なんかはゲンナリしてしまって、買う気が起らないものなのですが、少し前にたまたま小さな本屋でそれと知らずに購入してしまったのです。その日のうちに他の本屋をまわると、どこでもかしこでも大量陳列してあって、思わず投げ捨てそうになりました。が、店での暇つぶしに読んでいると、これが結構面白い。

 もちろん私のような「よそさん」にとって、知らない京都情報が載っているのも面白いのですが、なによりこの著者の入江敦彦氏がおかしい。「よそさん」をいじめた思い出話や、魯山人に対する激しい罵倒、有名店(しかもどうやら知人らしい)への分かるような分からないような皮肉、などなどなど。

 白眉はなんといっても最終章。関西には京都人でもないくせに京都人を名乗りたがる人々が多く、その代表が福井人と滋賀人だ! とバカにしたり、亀岡は京都ではない、実は伏見区や山科区でさえ、そこに住んで居る人達以外は京都と思っていない、と断言する。そして、オパール的には次の一文が最高だ。

世の中には京に憧れ、この街を過剰に美化する一群がいる。現物を見れば「なあんだ」という場合もあるが、期待を裏切られたくないあまり汚い部分や悪趣味なものを見ても「さすが京都のゴミは雅な匂いがする」とか「未来君(先の京都国体キャラクター。まだ市内のあちこちにいて目障りこのうえない)の可愛さはミッフィーにも匹敵する」などと自己韜晦する人々もいる。しっかりして、おじいちゃん! もう、さっきゴハンは食べたでしょ! って感じだ。

未来くん 最高! 我々はボケ老人だったのですね。ますます未来君に対する愛情が湧いてきます。はやく未来君のコーナーを作って、京都人に「よそさんやし、しゃあない」と嘆息してもらいたいものです。ね!

「ああ、怖い、怖い。」

 ……。


小川顕太郎 Original:2001-Jun-29;