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 Diary 2001・6月16日(SAT.)

オイシンの悩み

「実は今、悩んでいることがあるんですよ〜。」とオイシンが言い出したので、私は不吉な予感に襲われながら、オイシンの顔を見返した。「毎日大量の携帯電話やパソコンが捨てられている訳じゃないですかあ。それで有害物質をたくさん出して環境を破壊しまくっている訳じゃないですか。でもボクたちは携帯やパソコンのない社会にもう戻れない訳じゃないですか。うううううん、ぼくは一体どうしたらいいんでしょう!」

 な、なんじゃそりゃ。オイシンが何をしたってどうにもならないから、ほっといたら。

「やっぱり、そうなんですか! 何をしても無駄なんですか! ボクも一応パソコンを使って仕事をしているから、環境破壊には責任があると思うんですよ!」

 ……そんなん、誰にだって責任はあるといえばあるやん。で、オイシンは何か考えていることがあるの?

「分からないんですよ。でも…こうなったら、やっぱり革命しかない! かと…。」

 こりゃ、あかん。まずい。と私は思い、気力を奮い起こしてオイシンのトホホな質問に答えることにした。

「あのなあ、オイシンは大雑把すぎ! 杜撰。前にも言ったけれど、オイシンのやっているのは頭の中で言葉を転がしているだけで、ちっとも『思考=考えること』になっていない。『考え方』は前に道場で教えただろう? 携帯やパソコンで環境が破壊されている→携帯やパソコンをなくす事はできない→社会の仕組みを変えるために革命、というあまりに杜撰な図式がオイシンの頭の中にある訳だ。これをもっと精緻に具体的にしていく事から始めな。まず『携帯やパソコンで環境が破壊されている』というけれど、本当なのか? 具体的に一日にどれぐらいの携帯やパソコンが捨てられているのか? それらは何処に捨てられているのか? 誰が捨てているのか? それだけの量が捨てられて社会がまわっていっているのは何故なのか? などを詳しく調べてみたら。そしたら具体的に自分の生活圏、自分の手が届く範囲にまで問題が降りてくるから、自分のやる事が自然と分かるようになる。何もせずに『どうしたらいいんだ!』と頭を抱えているだけじゃ、なんにも分からん、つーの。」

 なるほど! と言いながら去って行くオイシンを見ながら、私はひたすら虚しかった。オイシンには何を言っても無駄だろう。そういえば今日はオイシンの作った次回のソウルサバイバーズのフライヤーが出来上がってきていたのだが、ババさんが前回注意した所が、まったく直っていなかった。まあ、それぐらいでは驚かない。一度注意しただけで、オイシンの間違いが直る訳がない。私が、いやそこに居た全員が声をあげて吃驚したのは、自らの間違いを指摘されたオイシンが頭を抱えながら「俺はアホかあ!」と叫んだことだ。あれだけ毎日言っているのに、いまだに自分がアホだと分かっていないとは…。やはり、オイシンには何を言っても無駄だ。

小川顕太郎 Original:2001-Jun-17;