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 Diary 2001・7月2日(MON.)

北緯17度

 日伊会館で、浅田彰セレクション『若者よ、目覚めよ!』の残りの一本、ヨリス・イヴェンス監督『北緯 17 度』を観る。この映画は、ベトナム戦争中の北ベトナムに行って、そこで闘い・生活するベトナム人民の姿を撮ったドキュメンタリーだ。

 はてさて。私はいくら右翼と自称しているからとはいえ、北ベトナムの人達に対して偏見を持っているつもりはないし、浅田彰が講演中にこの映画について語った「美しい」という言葉に惹かれて、その美しさを観たくてやってきたのだが、はて。

 確かにアメリカの戦闘機から落とされる爆弾は美しいし、草を身に纏って偽装して銃を持つベトナム女性の姿は美しかった。その他にも、モノクロの画面がときに異様なまでにスタイリッシュで、まさに「静謐な美しさ」というような場面が多々あったのだが、私にはどうにもこうにも全体に芝居くさくて、とても皆が言うようなリアルさを感じることが出来なかった。

 私と同じような感想を、パンフレットに佐藤真が書いているのだが、それに対して浅田彰は講演中何度も「私はまったくそう思いません」と繰り返していた。その理由として、時代的な制約があるのはこの手の映画は仕方がない事で、それを勘案した上で、さらにそれを超える美しさがこの映画にはある、と述べていた。ひっきりなしに爆弾が投下される村にいて、それでも力強く生きていく農民達の姿。爆弾の音と風の音・川のせせらぎを等価に捉えたフィルムの比類ない美しさ。私もこういった浅田彰の言葉にすっかり幻惑されてこの映画を観にきたのだが、実際に実物を観ると、どうにも芝居くさくて頭をひねった。これが正直な感想なんだから仕方がない。ちょっと、かっこよすぎないか、この映画?

 意地悪な見方をすると、浅田彰は左翼としてこの映画を救いたくて、わざとそのように言ったとも考えられる。「政治的に正しいこと」を言い立てるのは野暮ですよ、それよりも映像の持つ「美しさ」に敏感になる方が、シャープなものの見方というものですよ、てな具合に。いや、私も「政治的に正しいこと」をことさら言い立てるつもりはないんですが、やっぱこの映画は芝居くさいよ。絶えず聞こえている爆音が、絶妙な睡眠効果をあげて、私はずっと半覚半睡の状態で映画を観ていました。

 ともあれ、様々な意味で面白かったです。観ることが出来てよかった。浅田彰に感謝。

 帰りに吉田神社に寄る。するとそこには国歌に出てくる「さざれ石」が安置してあった。説明文を読むと、もともと岐阜県にあったそうだ。謎だなあ、岐阜県。オイシンによると、岐阜にはミイラも多いそうだし。一度、本格的に調査してみる必要がありそうです。

小川顕太郎 Original:2001-Jul-4;