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 Diary 2001・2月15日(THU.)

サイクリスト

 みなみ会館にモフセン・マフマルバフ監督特集のうちの一本『サイクリスト』を観に行く。これはマフマルバフ監督の代表作ともいえる作品で、全イラン国民が観た、とまで言われるほど大ヒットしたそうだ。

 妻の治療費を稼ぐために、1 週間自転車に乗り続ける見せ物に挑戦する男の物語なのだが、ババさんが「ブニュエルっぽい」と評したとおり、ブラックユーモアが随所に溢れる作品だ。が、例えばモンティ・パイソンとかでもそうなのだが、こういったブラックユーモアは、実はその作品の背景となる事情をよく分かっていないと、理解しづらい、という側面がある。この作品の場合は、イラン国内におけるアフガニスタン人の立場、といったものがよく分かっていないと理解しづらい(と思われる)。もちろん、というか、私はそんなものはよく分からないので、理解しがたい部分がけっこうあった。とはいえ、アフガニスタン人が最貧困層を(多分)成し、(多分)差別もかなり受けているだろう、ぐらいは直感的に分かるので、全く分からないということはないが、これがイラン国民を熱狂させた(爆笑の渦に巻き込んだ?)という、その機微まではどうにも分かりかねるのだ。もどかしい。

 まあ、こういった事情はあるものの、十分楽しめる。笑える。イランの、ゴテゴテにデコレートされたトラックや、おもちゃのロボットやテレビゲームのある金持ちの邸宅を観るだけでも楽しい。試練が終わっても、決して自転車から降りようとしないラストシーンもいい。なんとなくカルヴィーノの『木のぼり男爵』を思い出したりした。

 家に帰って、またひたすら片付けを続ける。それでも必要な領収書が出てこない。ううん、どないしょ。

小川顕太郎 Original:2001-Feb-16;