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 Diary 2001・2月8日(THU.)

鬼茶屋2001

 千本閻魔堂に行く。ここは正しくは引接寺というのだけれど、本物の閻魔大王像があるので、千本閻魔堂の名前で親しまれている。本物の閻魔大王像、とはどういう意味かというと、この像を作ったのは、あの小野篁と言われているからだ。小野篁といえば、昼間は朝廷の官吏として働き、夜は冥界に降りていって閻魔大王に仕えていたという伝説の持ち主なので、彼の作った閻魔大王像ならほんものそっくりのはずだろう、という訳だ。

 確かに、小さいとはいえ閻魔庁をかたどったと言われる本堂は凄い迫力で、閻魔大王の像は恐ろしい。よくぞこんなに恐いものを作ったなあ、と感心する。閻魔大王の両隣りには司命尊(検事)と司録尊(書記)の像もあり、まるで裁きを受けている気持ちになる。

 厳粛な気持ちでお詣りしていると、本堂の横にある建物からおばさんが出てきて、「お雛様を飾ったから、もしよかったら見ていって下さい」と言うので、お言葉に甘えて部屋にあがらせてもらう。

 そこでお雛様を鑑賞し、御薄と御菓子をいただき、色々な話をきかせてもらう。その話のあいまに、「すごくいいお話がきける集まりがあるのよ。もし、もしよかったら来てみない?」と言って、紙を渡される。その紙をみると「京都倫理普及五〇周年記念大会」と書いてある。うおお! 倫理公正会やん! びっくりしたなあ、もう。でもそのおばさんは良い人で、私とトモコは楽しく時間を過ごす。茶室までみせてもらったのだが、桜の木をそのまんま使った床柱で、とてもかっこよかった。

 我々が京都に引っ越してきて日が浅いのを知り、「京都の人って何考えているか分からないでしょう。でも慣れたらそうでもないのよ」とアドバイスをくれる。が、いざ帰ろうとすると、「これはお茶代」といって 1000 円札を 1 枚テーブルの上におくので、我々が「?」と当惑気味の顔をすると、「いいのよいいのよ、ここのお茶代はわたしが出しておくから」と言う。なんだ、御薄と御菓子は有料だったのか。それならそうといってくれい、ほんまに京都の人間は何を考えているかわからん。1000 円を渡すと、「いいの? 悪いわねえ、なんだか無理強いしちゃったみたいで」と言われた。

 帰りに門の所をみると、おもいっきり倫理公正会のポスターが貼ってある。ううむ、閻魔堂と倫理公正会の関係はいかに?

 近くにある釘抜き地蔵にも寄って、そこらへんをフラフラ散歩する。


 夜は全日空ホテルに行って、御飯を食べる。期間限定で、部屋の一室をつかって「鬼茶屋 2001」という居酒屋風ビアホールをやっていると聞いていたからだ。

 ところがこれが結構とんでもないしろものだった。狭い部屋にテーブルが 7 台ほど無秩序に置いてあり、そこで食事をするのだが、給仕をしてくれる人達が、タキシードのジャケットを脱いだようなファッションの上に、ブカブカのトラ柄のちゃんちゃんこを着ている。そして壁には鬼の仮面がふたつと、何故かなまはげの暖簾がかかっているのだが、まったくやる気は感じられない。

 メニューも別に変わったものはないのだが、なんでも名前に「鬼」とついている。例えば「鬼ハンバーグ」といって、ふつうのハンバーグがでてくる、といった具合だ。そこそこおいしかったが、値段もそこそこ高いし、なんだかよく分からない店(?)だった。まあ、ホテルも経営が苦しいだろうし、部屋を遊ばせておくよりは、なんらかの企画を打ち出して儲けよう、といった所なのだろうが、それにしても……。

 今日はとても寒かった。

小川顕太郎 Original:2001-Feb-9;