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 Diary 2001・8月26日(SUN.)

生きものの記録

 タクヤくんが、「ほぼ日刊イトイ新聞」で「自転車思想」を連載しているエノモトさんとともに来店。昨日の BIKE SUMMER@京都は大成功だった、と満足そうに語る。夜のレースも普段の何倍も参加者があり、白熱。そのまま朝までみなで騒いで、今日は朝からマウンテンバイクで皆の引率(?)。エノモトさんも、この 3 日間で通算 5 、6 時間しか寝ていない、と眠そう。それでもお酒を飲み、熱く語り合う。タフですねー。さすが自転車乗りは違うわ、と感心する。

 家に帰ってビデオで『生きものの記録』(1955 年・黒澤明)を観る。盟友の本田猪四郎が前年に撮った『ゴジラ』を受けるような形で撮られた、同じく原・水爆をテーマにした作品で、原・水爆の危険から逃れるために日本を脱出してブラジル行きを敢行しようとする老人と、それを止めさせようとする家族を描いた作品。なかなかに面白い。

 周りから気狂い扱いされながらも家族を救うために奮闘する老人? というのは、タルコフスキーを思い出させる。タルコフスキーは、かなりの黒澤ファンという話だったので、もしかしたらこの映画の影響をかなり受けているのかもしれない。自分の工場に火を放つ老人、というのは、『サクリファイス』で世界を救うために自分の家に火を放つ老人を思い起こさせた。

 なんにせよ、老人を演じる三船敏郎がすごい! どうみたって爺さんにしかみえない。なんでわざわざ若い三船に老人を演じさせたのか分からないが、かなりの怪演で、確実に効果をあげている。老人の妄想に振り回されて家も工場も売ってブラジルに移住するなんて真っ平ごめん、という家族の言い分は、正しそうに聞こえるが、「そんな事はない!」と全身で三船がそれを否定する。それを観る我々も、志村喬と一緒に三船の行動を肯定せざるを得なくなる…。いやー、凄いですねー。

 まだまだ暑い。

小川顕太郎 Original:2001-Aug-28;