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 Diary 2001・4月30日(MON.)

ガンスイオイシン

 オイシンをみていると、ほんとうにこいつは農民的な奴だなあと思う。ところがそれを本人に告げると、「えーそれはないでしょう! ボクは農民的ってことだけはないと信じて生きてきましたよ!!」と激しく憤る。フウタラヌルカことだ。私がいう農民的とは、『神聖喜劇』中で大前田文七軍曹の述べる定義とほぼ等しい。つまり「妙な所じゃ横着者じゃったり、こすっからかったり、抜け目のなかったりのごたぁるかと思や、大事な場合にゃその頭が、バカともフウケとも訳はわからんごたぁるまわり方しかしやしませんとじゃ。」という事だ。これはまるでオイシンのことを言っているとしか思えないのだが、どうか。

 それからショウヘイくんとの対比の問題もある。今日も、ワダくんは先に帰ったので、ショウヘイくんとオイシンとともに働いていたのだが、二人をみていると、ショウヘイくんの武士的な様が、よけいにオイシンの農民臭さを際立たせる。どういうところが決定的・対比的に違うのかというと、困難な道と安易な道があった場合に、ショウヘイくんは迷わず困難な道を選ぶのに、オイシンは迷わず、しかしこっそりと安易な道を選ぶところだ。仕事をしていても、ショウヘイくんは率先してややこしい事・面倒なことを片付けようとするのだが、オイシンは目を離すとすぐにさぼる・楽なことをしようとする。ほんとにホウトクナイやつだ。まあオイシンは無意識にやっているのだろうが、そういうところが農民的なのだ。根っからの農民。というか単なるガンスイか。

 そういえば山本夏彦の『誰か『戦前』を知らないか』(文春新書)を読んでいたら、「十人のうち真に出来る人は一人、五人は並、三人は並以下、一人は働いているつもりで邪魔している人」という文章があって笑ってしまった。もちろんオイシンを思い起こしてだ。しかしまあ、人の集まりなんてそういうもので、それでいいと思う。ガンスイも必要ですよ。腹が立つことも多々あるが。

 ちなみにガンスイ=愚者・頓馬、フウタラヌルカ=バカくさい、ホウトクナイ=情けない。これらは全て『神聖喜劇』で学びました。

小川顕太郎 Original:2001-Apr-1;