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 Diary 2000・9月21日(THU.)

韓麺韓38

 川端五条にある「韓麺韓 38」にまでピビン冷麺を食べに行く。ここは京都に引っ越してきてから、様々な人に勧められていた所であり、一度は行ってみたいと前から思っていたのだ。

 お茶屋さんの並ぶ、私とトモコには無縁の地帯を通って、韓麺韓 38 に至る。そこはカウンターとテーブル席がひとつだけという狭い店であったが、いかにも美味しさを保証するような猥雑な雰囲気があった。

 私はジンロというお酒を、トモコはトウモロコシ茶を注文し、まずは牛肉のすじ煮込みとチヂミとユッケを食べる。特にユッケが絶品で、いわゆる肉の刺身状態である。韓麺韓 38 のママさん曰く「これがホンマの韓国のユッケや。よく日本の焼き肉屋で出ているミンチ状になったやつ、誰が考えたんかしらんけど、あれはユッケとちゃう!」。

 いよいよピビン冷麺である。ここはピビン冷麺と水冷麺の 2 種類あるので、一つずつとってトモコとわけて食べる。

 ピビン冷麺を手渡しながら、ママさんがいうには「よく混ぜて食べてや。「ピビンと」いうのは「混ぜる」という意味。食べる前によく混ぜて」。これは韓国の人がやっている店に行けばよく言われる事だ。ロンドンで韓国料理屋に行き、石焼きピビンバを食べた時も、よく混ぜろとしつこく言われた。

 これは日本人というのは基本的にご飯を混ぜないで食べる民族だからだろう。日本ではそれは「はしたない」行為とされる。ところが韓国では何でも混ぜて食べるのだそうだ。カレーライスをグチャグチャに混ぜて食べるのは勿論、ラーメン定食はラーメンの中にご飯をぶち込んで混ぜて食べるのだそうだ。

 このグチャグチャに混ぜて食べるという行為、一種の禁忌を侵しているようでちょっと楽しい。これも韓国料理を食べる時の楽しみのひとつだろう。トモコが一通り混ぜ終わっていざ食べようとすると、店の主人が後ろから覗いて「あ、もうちょっと混ぜた方がいいですよ」。さらに、混ぜる!

 ピビン冷麺は噂通り美味だった。辛さもちょうど良いくらいで、顔から汗が滲む。これぞ韓国の味。

 ところで、この「辛い」というのが韓国の味、というのはちょっと間違いらしい。韓国ではなんでもかんでも「辛い」のではなく、「辛い」と「甘い」の差が激しいのだそうだ。例えばこの冷麺の他に韓国でよく食べられる麺料理として、「ラーミョン」という日本料理を変形して作られたものと、「チャヂャンミョン」という中華料理を変形して作られたものがある。このふたつは「甘い」らしい。で、ものによっては砂糖漬けのように甘いのだそうだ。一度食べてみたい。

 韓麺韓 38 のママさんのバイタリティ溢れる京都弁を受けつつ、飲み残したジンロをお土産に貰って、そこを出る。酔っぱらった頭と足で、フラフラと家路を辿った。

小川顕太郎 Original:2000-Sep-23;