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 Diary 2000・10月13日(FRI.)

最低の飲み物

 レモンソーダというオーダーが入ったので、レモンを切っていると、トモコが私の目の前にコップを置いた。これはわざわざ私のために置いてくれたのだろうと、その中に 100 %レモン果汁をいれ、氷をいれようと横を向き、氷をつかんで正面を向くと、コップが消えていた。

 あれ? と思ってキョロキョロしていると、隣りでトモコがそのコップにアイスココアを入れている。うわあ! あかんやん! それレモンはいっているって! 「うそおおお! 何で私のコップにレモンをいれるのよお!」そうか、トモコは自分のためにコップを出していたのか、これはミステイク。とりあえず、そのレモン果汁入りアイスココアは横に置いておく。

「おはようございまーす」。オイシンが不機嫌な顔で浮かれてやってきた。オイシン、そこに間違って作ってしまったアイスココアがあるから、飲んでいいぞ。「イエーイ、いただきまーす。ゴクゴクゴク…ゴフ!」口を押さえて、あたりの様子を伺うオイシン。「これ、酸っぱいんですけど…腐ってません?」腐ってへん腐ってへん。作り方間違えただけや。「作り方を間違えたんですかあ! オーダー数を間違えて、多く作りすぎちゃったのかと思ってましたよ!」もちろん、そう勘違いするように引っかけたんやけどな。「く、くそー!」

 レモン果汁を入れたアイスココアは、そのうち分離して上部が固まり、ババロアみたいな美味しそうな形状になった。それをみてベッチが「味見してみたい」と言うので、手渡す。

「なんかこれ…脱ぎたての靴下の匂いがする…」。

 脱ぎたての靴下! ひどいなあ、それ。タケダくんはどう?

「ううん、この味を的確に言い表すなら…ゲロ、かな」。

 ババロアの形状に脱ぎたての靴下の匂い、そしてゲロの味。最低の飲み物だ。手軽に素早くできる最低の飲み物として、これはお薦めです。

小川顕太郎 Original:2000-Oct-15;