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 Diary 2000・11月16日(THU.)

梅田

 久しぶりに京都脱出。とはいえ家を出たのが遅かったので、遠くまでは行けず、梅田をほっつき歩く。梅田と言えば百貨店。梅田の百貨店といえば阪急百貨店。三島由紀夫の『愛の渇き』の冒頭で、主人公の悦子が靴下を買った所だ。そしてサラリーマン時代の私が営業に廻っていた所でもある。しかし今はそんな事は全く関係なく、私は単なる一客として、トモコとともに店内を彷徨く。

 アイボワールド、とかいう催しをやっており、アイボの第 2 世代が子供とじゃれていたりする。私もトモコも実物を観るのは初めて。CG みたいな動きだな、というのが私の感想。気持ち悪い、というのがトモコの感想。さっさとそこを後にする。

 百貨店で一番楽しい所は食器売場である。特に梅田の阪急百貨店は骨董街が充実しており、骨董品の食器も見られるので最高だ。トモコとともに何十万もするコップや猪口などを指さしながら、あれが欲しいこれが欲しいと、決して買えないくせに言うだけ言って楽しんでいると、「わたしね、夢の中で弁財天の置物を買いなさい、と告げられたのよ」と店員さんに向かって熱弁を振るっているおばさんが居た。

 かなりイッテル感じだが、店員さんはキチンと応対をしている。大変だなあ、と思ってフト彼女等の前をみると弁財天の大きな一刀彫りの置物が。値段は見えなかったが、我々の側にある同種類の小さな一刀彫りの置物を見ると、80 万円、とか書いてある。するとあの弁財天の値段は‥‥なるほど、よく見れば金持ちそうなおばさんではある。こりゃ何がなんでも必死に接客するだろう。その他にも、骨董を買う楽しみを切々と店員に訴えるおばあさんなども居て、接客されたら笑顔で店員をかわす我々は、にこやかにそこを去る。

 阪急百貨店を出るともう 19 時過ぎで、あまりどこにも行けない。私は古本屋か中古レコード屋か悩んだ末に中古レコード屋に行く。かっぱ横町の古書街を駆け抜け、「キングコング」へ。ザーっと見て、LP5 枚とシングル 7 枚と CD2 枚を買う。

 その後、ヤンキーの海をかき分けて東梅田商店街をさまよい、「酒楽亭」というちゃんこ鍋屋に行って、ちゃんこを食う。社内不倫を正に成し遂げんと鍔迫り合いを続けるカップルや、施主の悪口を言いまくって怒っている多分舞台セットを組む人達、飛田やストリップ小屋の話をしながら、ときどき我々の事を「年齢不詳やねえ」「オレ等よりは若いんとちゃうか」などとトモコ以外の誰にも聞こえない小さな声で囁き合うカップルなどに囲まれて、鍋をつつく。

 最終電車で京都へ。帰り道は雨が降ってきたので、折りたたみ傘をひろげ、足早に家路を急いだ。

小川顕太郎 Original:2000-Nov-17;