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 Diary 2000・11月12日(SUN.)

エコマネー

 柄谷行人の『原理』(太田出版)を読んでいたら、西部忠が LETS について書いていた。というか、NAM の結成総会での報告が載っていた。

 LETS というのは「LOCAL EXCHANGE TRADING SYSTEM」の略で、訳すと「地域交換取引制度」という事になるらしい。つまりは地域通貨の事で、可能くんから西部忠がそのようなものに関わっているとは聞いていたので、一応知ってはいたものの、勝手に細々と実験的にやっているだけだと思っていたら、その報告を読むと、何と全世界では 2000 種類とも 3000 種類とも言われるぐらいの地域通貨が存在し、日本でも 30 種類以上の地域通貨があるらしい。それどころか最近はテレビや新聞でよく報道されてまでいるらしく、自分がいかに世間の流れから取り残されているかを痛感した。みなさん知ってました?

 マスコミでは主に「エコマネー」という名前で流通しているそうだ。エコマネー? 聞いた事もないな。ところが、この報告でも西部忠が注意しているが、エコマネー=地域通貨ではない。エコマネーは通産省の加藤敏春氏が考案し命名した地域通貨の固有名詞、つまりエコマネーは地域通貨のひとつに過ぎない、という訳です。みんな誤解している、と。私は誤解以前にそんなものは知らなかった、と。

 で、まあ、西部氏に言わせると、このエコマネーは地域通貨としてもダメなほうだろうと。何故か。それは地域通貨の可能性は「市場と非市場の境界、あるいは国民通貨と地域通貨の境界そのものを揺るがし、やがてはそれを無効にするような対抗ガンになりうるところにある」からです。要するにエコマネーは普通のお金として物を購入したりは出来ない、そこがダメだ! という事なんですね。エコマネーは、いわゆるボランティアとかそういった非市場の活動にしか使えない。もちろん、そうじゃない地域通貨は世界中でいくらでもあります。

 ここでタイミングよく、「京都リビング中央版」が届いた。実はオパールがこれに載ったから、掲載紙という事で届いたんだけれど、そんな事はどうでもよい。この新聞の中で、『ネットワークから』とかいう各地のリビング新聞からの抜粋記事を載せるコーナーがあって、それが今回は『エコマネーって何?』という 10 月 28 日号「リビング北阪神」からの抜粋記事なんですねえ。それによると、関西では現在、神戸市東灘区と長田区、滋賀県草津市、そして宝塚市が実験的にエコマネーを導入しているようだ。で、宝塚 NPOセンターの人の説明によると「エコマネーは地域通貨と呼ばれ、一定地域でしか使えないお金。物の購入ではなく、経済的価値で計れないボランティア活動などを受けるときに使います」。なるほどね。んで、宝塚市では「ZUKA」という紙幣をエコマネーとして発行、使用している。エコマネー事務局の人の話。「ZUKA は『ありがとう』を形にしたものなんですよ」。…‥いたい。つうか、こりゃダメな感じだ。凄くママゴトくさい。なんでこうなのか。

 とかなんとか、ゴタゴタのたまってきましたが、実を言うとオパールでもすでに地域通貨は発行されていた! オパールでの地域通貨は名前を「オパ」といい、LETS と同じく帳簿方式です。つまり実際の貨幣・紙幣は存在せず、帳簿でやりとりをする。まあ、電子マネーみたいなものです。で、オイシンはオパールに 13 兆 4 億 6700 万オパの借金があるのです。それでオイシンは毎日オパールで働いている、と。しかし何と言ってもオパールでの時給は 1 オパだから、このままじゃあ一生働いても借金は返せない。それどころかオパール道場の講習料は 1 回で約 10 万オパ。借金は増える一方。いったいどうする気だ、オイシン?

小川顕太郎 Original:2000-Nov-14;