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 Diary 2000・7月10日(MON.)

ヤン・シュワンクマイエル

 京極弥生座の弥生座ナイトムービーに『ヤン・シュワンクマイエルの世界』を観にいく。私が観に行ったのは短編集で、『石のゲーム』『ワイズマンとのピクニック』『スターリン主義の死』『フード』など。これらの作品は勿論、ホンザ節がききまくっていて素晴らしかったのだけれど、最後に収められていた BBC のドキュメンタリー番組『プラハからのものがたり』が興味深かった。

 これはヤン・シュワンクマイエルを紹介する番組で、ヤン・シュワンクマイエル自身の姿も写り、肉声も収められている。彼は言う、「私の映画は全て政治的です」。また自らをシュルレアリストと規定するヤン・シュワンクマイエルはこうも言う。「私にとってシュルレアリズムは美学ではなく哲学です」。これらは全面的に共感できる言葉だ。私は常々作品製作というのは政治的なものだと考えているし、その事を自覚しない作品製作からはあまり良いものは産まれないとさえ思っている。ものを作る、というのは闘いなのだ。

 ヤン・シュワンクマイエルは自らの作品『スターリン主義の死』に関しては、こうとまで言い切る。「この映画はプロパガンダ映画です。100 年後には誰からも理解されなくなっているでしょう」。実に潔い発言だと思う。このような姿勢が「魔術としての芸術」を復活させるのだと実感。ヤン・シュワンクマイエルの幻想的な作品の内に流れるゴツゴツとしたものの一端を垣間みさせる、興味深い番組だった。

 映画終了後、一人で居酒屋で飲んでいて、所在ないのでクラタニくんを呼ぶ。「明日は仕事なのであまり遅くまでは付き合えませんが」と言いつつ現れたクラタニくんだが、結局 1 時半まで飲む。ちなみにクラタニくんは『ウォレスとグルミット』の大ファンらしく、ビデオも 3 本とも持っているそうだ。ああ、今日もたくさん飲みました。

小川顕太郎 Original:2000-Jul-12;