京都三条 カフェ・オパール Cafe Opal:Home

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 Diary 2000・7月8日(SAT.)

取材

 雑誌の取材があった。そしていつものごとく「ここのお薦めメニューは?」「ここだけは他店に負けない、という点は何ですか?」「特に読者に強く訴えたい、これだけは宣伝したい、というところはありますか?」などと訊かれ、例のごとく返答に窮した。

 このような質問にまともに答えられる訳がないと私は考える。例えば、実を言えばオパールでは珈琲が結構お薦めで、そんじょそこらの店よりもずっとおいしい珈琲を出している自信はあるのだけれど、「珈琲がお薦め」みたいにはあまり書かれたくない。何か目玉商品があるような店にはなりたくないのだ。勿論そんな店は「売り出しにくい」というのは分かっている。しかし、その手の分かりやすさが、どうにも好きになれないのだ。誤解を招きそうなので言い直そう。

 例えば、とんかつのおいしい「豚カツ屋」というのなら分かる。また、珈琲のおいしい「珈琲屋」というのも分かるし、素晴らしいと思う。が、カフェというものは、その手の分かりやすさを拒否した所に成立するのではないだろうか。敢えて言うなら、そこにそれがある、という事自体がカフェの存在理由であり魅力であるのだ。無論、こういったものはいかがわしい。カフェとは本来いかがわしいものだと思う。オパールも十分いかがわしいし、私もオパールを始めて以来、容姿がどんどんいかがわしくなってきてしまった。この上は刺青でもしようかしらん、などと考えている始末だ。

 しかしながら、ふと思ったのだが、このような質問には答える必要がないのではないか。大体、取材を申し込んできたのはあちらであり、こちらから「宣伝をして下さい」と頼んだ訳ではないのだ。ここに書いたような質問の答えは、雑誌のライター側が、取材を通して自らの力で考え出すものではないか? この質問だけみれば、まるで何かの面接試験みたいではないか。物を書く、あるいは何かを作るからには、ある程度の見識は絶対に必要であると、強く思った。

 今日は久しぶりにいい感じの土曜日だった。

小川顕太郎 Original:2000-Jul-9;