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 Diary 2000・12月16日(SAT.)

バトル・ロワイアル

 大宮東映に『バトル・ロワイアル』を観に行く。公開初日だ。16 時 30 分の回に行ったのだが、劇場に入る時、前の回を見終わった女子高校生の二人組が「すごかったあ〜」と顔をしかめながら出てきたので、そうか凄いのか、とちょっと期待して席につく。客席は 3 分の 1 ほど埋まっている。で、観た。

 ケチをつけようと思えばいくらでもケチをつけられる映画だ。例えば、登場人物のキャラが全くたっていず、故に『仁義なき戦い』のような人物の絡みによる迫力・面白味に欠ける、とか。が、約 2 時間の映画で、クラス全員が殺し合わなければならないのだ。人物描写が粗くなっても仕方がないだろう。

 そんなことより何より、黙って観ろ! とにかく観ろ! と言いたくなる映画だ。監督の深作欣二はもう 70 歳である。その爺さんが、中学生の殺し合う映画を撮ったのだ。それだけでも素晴らしい。私が初日にわざわざ足を運んだのも、この映画を先に観た連中に、「面白くなかった」「なんだかイマイチだね」「やりたい事は分かるんだけど」などという賢しらな事を言われ、観る気が失せることを恐れたからだ。ほんとに初日に観に行って良かった。

 この映画は R15 指定。つまり 15 歳以下は観れないのだが、深作欣二も言っているように、15 歳以下の子供達こそ、観るべき映画だ。なんとかうまく映画館にもぐりこんで、是非とも観てほしい。そのようにしてこの映画を観た子供達が、明日の日本を作っていくだろう。私のようにもう 30 歳を過ぎた人間が観ても、どうしたって冷めてしまう部分があるのだ。何故なら、中学生のガキなんて、子供の純真さも大人の覚悟もなく、何も分からず何も出来ないくせに、自己主張と自意識ばっかり過剰などうしようもない生き物だ、という事を嫌というほど知ってしまっているからだ。勝手に無人島で殺し合って死ねよ、とかつい考えてしまう。

 映画館を出た所で、同じ回を観た高校生らしき少年達が、「面白かったけど…」「まあ、面白かったんやけどな」と、解せぬ顔でボソボソ言いながら屯していた。それもまたよし。私は心の中で叫んだ。「走れ!」

小川顕太郎 Original:2000-Dec-17;