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 Diary 2000・8月24日(THU.)

女性上位時代

 みなみ会館に『女性上位時代』(1968 年)を観にいく。素晴らしかった。ぶっとぶようなお洒落な衣装を、次から次へととっかえひっかえして出てくるカトリーヌ・スパークに、この時期のイタリア映画の底力を感じさせられた。

 先日観た『野良猫ロック』の梶芽衣子がいくらお洒落! かわいい! と言っても、最初から最後まで同じ格好だからね。確か同時期の映画であるジェーン・バーキン & セルジュ・ゲンズブールの『ガラスの墓標』も、ポスターのジェーン・バーキンのお洒落な格好に惹かれて観たら、確かにお洒落なんだけれども、最初から最後まで同じ格好で腹がたったおぼえがある。大金持ちの娘の役でそれはないだろう! と、トモコとともに突っ込みまくったものだ。

 パンフレットを読むと、多くの人が谷崎潤一郎の名前をあげているのだが、女性が男性の上に馬乗りになったからといって「谷崎」というのは、ちょっとあんまりではないか。この映画には谷崎的な所は微塵もない。

 むしろ較べるなら、これも同時期の映画であるブニュエルの『昼顔』(1966 年か 67 年)だろう。性に興味を持った女性が、さまざまな冒険を繰り返す。という事で、色々な異常性欲や先端風俗がカタログ的に並べられる、という訳だ。こういった映画は、映画の持つ原初的な魅力、それは覗き見の魅力だけれども、を湛えている。いわゆる作品としての完成度は『昼顔』の方が上だけれども、この『女性上位時代』の方が単純であるぶん原初的な魅力に近い。それは「夜もの」に始まって「残酷もの」に至るイタリア記録映画との類縁性を強く感じさせる。イタリア記録映画の「いかがわしさ」「胡散臭さ」が、「キッチュさ」となってこの『女性上位時代』にラウンジ感覚を横溢させている、と。ううむ、最高!

 パンフレットは、アナログレコード LPを模したもので、1300 円。ま、かなりダ・パンフなんだけれども、別にいいや。と、思ったけれどもひとつだけ。「カトリーヌ・スパーク豆知識」というコーナーの文章と、カトリーヌ・スパークの紹介文がまったく同じ! 私はこういった手抜きは気になるんだよね。って、それだけですが。

小川顕太郎 Original:2000-Aug-26;