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 Diary 2000・8月21日(MON.)

ナビィの恋

 みなみ会館に『ナビィの恋』を観に行く。確か、ヤマネくん絶賛・ババさんちょい褒めの映画だったはず。で、私は? ううん、ちょいダメって感じか。

 ババさんはレビューで、「南の島で、酒と音楽と愛があればハッピーさ、ってなもんで、いやまあ、それはそうなんだろうが、これはさては『木屋町系』的価値観。」と言っていたが、私はさらに突っ込んで、これを沖縄でやられると、もうほとんど悪しきオリエンタリズムだと思う。南の島の土人達は無知で無教養で何にも考えてないから幸せなんだよおお、って言っているように思える。言い過ぎか? が、この映画全体に流れている雰囲気は、「自堕落」である。これを別に「幸せ」と呼び変えても構わないが。

 とにかく恐ろしく葛藤がない。ナビィの元に、60 年前に島の因習によって引き裂かれた恋人が帰ってくるのである。そしてナビィは 60 年間の生活・伴侶・友達を捨てて、その恋人とともに島を出るのである。このような状態になれば、もっと葛藤があるだろう普通。それが、ない。沖縄人は音楽と酒によって問題を全て回避しているとでもいいたいのか? だから米軍基地を押しつけようが、国内の矛盾のしわ寄せをしようが全てオッケーだと言いたいのか? この映画の制作者は政府から金でも貰っているのか? と、疑ってみたくなるような、自堕落さを感じた。

 オリエンタリズムとはもともとそういうものだが、この話はちっとも沖縄を感じさせない。東京の話みたいだ。ナビィに去られたおじいさんが、「やれやれ」と言って肩を竦め、6922 本目の煙草に火をつければ、これはもう村上春樹の世界だろう。「沖縄」という記号が、風俗の面でやたら散りばめられているだけに、少々うんざりする。

 なんかけなしているばかりだが、実はそこまで全然ダメだった訳ではない。ちょいダメ、だったのだ。ではどこが良かったのかというと、まず映像がなかなか綺麗だった。西田尚美の服の赤と花の赤、自転車の赤を合わすあたりは、ベタとはいえとてもいい。そして西田尚美。みんな褒めているみたいだけれど、確かに素晴らしい。魅力炸裂。この映画は西田尚美に救われているでしょう。

 ちなみに沖縄の妖怪はウワーグワーマジムン、キジムン、ケンモン、ミンキラウゥなど。いや、もちろん映画には何の関係もありません。

小川顕太郎 Original:2000-Aug-23;