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 Diary 2000・8月20日(SUN.)

地蔵盆

 本日は地蔵盆である。我々の家は今年の町内会常任委員なので、地蔵盆を執り行わなければならないのだが、夫婦共働きでカフェをやっている我々が日曜日に休める訳がない。それで、代理人をたてる事にした。ウエナカさんである。

 ウエナカさんは昨日から我が家に泊まり込みでスタンバッている。地蔵盆は朝の 6 時半に我々の家の前にある地蔵前に集合してテントをたてる事から始まるのだが、これは我々がベッドにつくのとあまり変わらない時刻である。ゴダールの『映画史』を観てきて疲れ果てていた我々は、いつもより早めに 6 時に床につき、ウエナカさんの健闘を祈って眠りに落ちた。

 昼頃に目覚める。地蔵盆である事を思いだし、そっと窓をあけて地蔵前を見てみると、老人・子供達に混じってウエナカさんが立っている。何故かウエナカさんだけが無心に西瓜にかぶりついている。これは後からウエナカさんに聞いたのだけれど、果物の卸問屋をやっている町内会長さんが大量の果物を持ってきたのだが、今時の子供はジャンクフード・お菓子には興味を示しても果物には興味を示さないため、ウエナカさんが押しつけられてひたすら食べ続けていたのだという。そういえば大量の仕事をこなすかのような、淡々とした表情で西瓜にかぶりついていたウエナカさんであった。

 店はそこそこ忙しい。ミツギちゃんが来店し、同じく店に来たクラタニくんと喋り、大いに盛り上がっていた。私にはよく分からないが、滋賀県人くささについて盛り上がっていたようだ。ちなみに二人とも実家は滋賀にある。クラタニくんは道を歩いていても、「あ、この人は滋賀県人」と分かるそうだ。分かるって、一体どうやってそれを確かめているのか。いちいち「あなたもしかして滋賀県人?」と聞いているのだろうか。クラタニくん曰く「いや、車だとかだと、怪しいなあと思ってナンバーを見ると、たいてい滋賀ナンバーなんですよ」。ほ、ほんとかあ? 「あ、でも分かる分かる。私も滋賀の人の運転はなんとなく分かる!」とミツギちゃん。そうですか、私には分かりません。

 ミツギちゃん曰く「わたし、クラタニくんみたいに滋賀県人である事をここまで全身で受けとめて、滋賀県人のダメな所もダサイ所も肯定して生きている人を始めて見ました。私の周りにはいません。感動しました。」滋賀県の妖怪は鉄鼠、片輪車。でも、こんな事なにか関係あるだろうか?

 オイシンがゴダールの『映画史』を観て、店にやってくる。いや、もう何も言わなくていい。オイシンに『映画史』が楽しめない事ぐらい分かっていた。だからそんな拷問を受けた人みたいな悲惨な顔はやめろ! で、ヒロキくんはどうだった? 「途中ではぐれちゃいましたあー」。ヤマネくんは? 「なんか感動して目頭を熱くさせてましたー」。なるほど。ちなみにババさんは私とトモコと一緒に土曜日に観たのだが、凄く! 面白がっていた。ミツギちゃんも我々と一緒に観たのだけれど、これまた「ゴダールなんて興味ない!」と言いながらも「観てよかったあ、面白かった」との事。これがオパール周りでの『映画史』の受けとめかたでした。

小川顕太郎 Original:2000-Aug-22;