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 Diary 2000・8月7日(MON.)

八月の濡れた砂

 この間『野良猫ロック 暴走集団‘71』を観てそのイケテなさに呆れ、監督の藤田敏八に対してプンプン怒っていたら、ババさんが「ボクは結構楽しめたよ。あれは野良猫ロックシリーズというより、藤田敏八の映画として観ればそれなりに興味深い。ボクは中学生の頃は藤田敏八が好きで特集上映とかよく行っていたからね」と笑いながら言う。

 ババさんが中学生時代に藤田敏八が好きだった? これは意外な感じがし、俄然、藤田敏八に興味が沸いてきた。考えてみれば私は藤田敏八の映画って観たことないのではないか。『スローなブギにしてくれ』とか、だったかな? とりあえずビデオを借りに行く。借りたのは『八月の濡れた砂』。これはある理由で前から観たいと思っていたのだ。それは GS のハーフブリードが出演しているから。なんかこんな理由ばっかりですな。とにかく観る。

 んー、なんか石井隆のマンガみたいだ。輪姦された女の子がオープンカーから海岸に放り出され、そのまま破かれた服を脱ぎ捨てて海に入っていったり、男の子がノーヘルで(当然か?)やたらバイクを乗り回していたり、水着姿の女の子が猟銃を構えて強姦者を狙ったり、と。同じ様な場面が石井隆のマンガにもなかったかな?

 やり場のない衝動が描かれ、閉塞感が全体に漂う。この映画が作られたのは 71 年なんだけれど、もう「挫折の時代」は始まっていたのか。…んー、なんかねえ、性衝動に悶々とする中学生(実際の映画では高校生の設定)に見えちゃうんだよねえ。現在ならマンガの『中学生日記』のネタになるような話じゃないか? まあ、『中学生日記』では強姦はしないだろうけど。こういった話を、ギャグにするでもなくシリアスに描くでもなく、軽く雰囲気で描いてしまう、というのが藤田敏八の特色か? う〜ん、分からん。

 可能涼介から電話。青山真治の新作『ユリイカ』を観てきたそうで、「お薦め!」との事。う〜ん、じゃあ京都に来たら観に行きますか。えっ! 3 時間半もあるの! そ、そうかあああ…でも、この『ユリイカ』って確かジム・オルークの名曲『ユリイカ』を劇中歌に使ってるんでしょ。んじゃあ、頑張って観に行こうっと。

小川顕太郎 Original:2000-Aug-8;