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Mondo Planet

帰ってきたモンド惑星 2002

Mondo Planet Returns

店主の日記
(マツヤマ編)


9 月 8 日 日曜日 休日前夜

 みや〜ん(内装職人)が訪れ、営業終了後にハルヨちゃんと 3 人で頂き物の高級日本酒を空ける、といっても瓶の中身は 3 合位、みや〜んがコップの最後の一滴まで飲み干しコップの底を覗いてさみしそうな顔をしたので、家に持って帰ってゆっくり飲もうと思っていたウイスキーのボトルを開けた。軽く飲んで帰るつもりだったのでおつまみも用意してなかった。が、みや〜んはとことん飲むつもりだ、このボトルが空いてもこの店にはまだ酒がたらふくある事をみや〜んは知っている。私も酒は弱くはないが強いわけでもない。食べ物無しで日本酒とウイスキーをちゃんぽんすると大変なことになることになるのは経験上予測できる。しかし、みや〜んは「こんなええウイスキーめったに飲めへん、うまい、うまい」、と幸せ気分だ。確かにいいウイスキーは味も香りも格別だ。結局みや〜んも早朝から仕事があるらしいし、過去に酔ってバイクにのって道路に血の池をつくって意識不明で死にかけたこともあるので、ボトル 3 分の一位飲んだところで、私は「さあ、そろそろ!」と声をかけ帰ることにした。みや〜んはバイクだった。みや〜ん、いつか死ぬぞ。

 日曜日のロマンザの営業は 7 時位に終わるのでこの日店を出たのも 9 時位と結構早かったが、私も明日、大阪の東急ハンズに行く用事があるので、できるだけ早起きして有意義な一日を過ごそうと自宅へと向かう。地下鉄で帰って、烏丸今出川の天下一品でラーメンを食べて帰ろうと思った。天下一品に限ったことではないが、ラーメンを食べた後って内臓がもたれて身体ゴト後悔することが多い。そんなことはわかっていても、その時の私の満腹中枢を刺激できるのは天一しかなかったのだ。地下鉄を降り足早にテンイチへと向かう。

 天一は休みだった、目がテンイチ。

 その場所から堀川寺の内の自宅まで歩くと 15 分かかるが、もはやそんな気力などなかった。そんなとき、ある名案が浮かんだ。そして私は再び地下鉄に飛び乗った。

 阪急電車で梅田に着いたのは 23 時位になっていた、そこから向かった先は、数年前に友人と梅田の焼き鳥屋で日本酒 2 升空けてぐでんぐでんになってタクシーの運ちゃん任せで行ったことのある男の楽園、都会のオアシス「千日前のアムザ 1000」。素早くチェックイン(宿泊 3 、200 円)を済ませ、ロッカーキーをもらい、浴衣(のような)に着替え、大浴場へ直行した。既にテンイチの悲しみなど忘れ、腹が減ってることすらも忘れていた。とりあえず軽くシャワーを浴びて広い露天風呂へつかる。特有のため息+両手で顔をバシャ〜。ハーブのスチームサウナ〜普通のサウナ〜高温サウナと順番に入り、汗腺、皮脂腺がすっかりキレイになり、お肌すべすべ。

 食堂で田舎蕎麦セットでビール、冷酒を程よく飲む。ここではある程度酔う必要があるのだ。カプセルで寝ることの苦痛を和らげる為だ。食堂を出たところでマッサージの受け付けがあったので、当然申し込んだ。強そうなおばさんが私の疲れた体を揉みほぐしてくれた、が、あまりの血のめぐりの良さに酔いが倍増して、めまいがしたので、スポーツドリンクを大量に飲んで、もう一度サウナに入って、体の中の悪い奴を追い出す事にした。胸がどきどきしたけど、歩けない程力が抜けて、カプセルでぐっすり眠れた。

 深夜 2 時半になっていた。


9 月 9 日 月曜日 休日

 8 時半起床、食堂で日替わり朝食を食べる、もちろん朝は生ビールで。そしてゆっくり朝風呂。その後、リクライニングルームで TV を観てたらウトウトしてチェックアウト時間をオーバーしてしまった。追加料金を取られるが、私は焦るのをやめた。こんな小旅行もいいだろう、のんびりしようじゃないか。

 11 時半頃アムザを出て、目指すはハンズ、東急ハンズ! ミナミに出来た新しいハンズは初めてだから、とっても楽しみ。途中 OPA の HMV で CD をニ枚購入。一路ハンズへ、が、途中のパルコが LOFT になっていることに驚く私。でも、元がパルコだから規模は小さそう。いやいや LOFT のことなんかより今日の一番の目的はハンズ! 。そのために昨日から前ノリしてんじゃないか。なんとか筋の大きな横断歩道を渡ると、大きなハンズのビルが見える。曜日のせいか、そっちの周りはあまり賑わってないようだが、かえって好都合、混んでるのは嫌だからね。ひたすらハンズに向かって歩く私。あと 50m 、30m 、…。

 定休日だっつうの。

 慌てる乞食は貰いが少ない、というか無い。

 しかたがないので梅田 LOFT へ行くことにした、まだ昼だし。2 週間前に行って隅から隅まで見てたのでなんの期待もなく行った。なにも買うものがなかったのは言うまでもなく京都へ帰ることにした。かっぱ横丁で酒でも飲むかと歩いていると、ふと目に入ったのはパチンコ屋。今まで競馬みたいなギャンブルなどしたことのない私も十数年前の数カ月間だけパチンコにはまったことがある、あの時はひどい目にあった。でも今の私は違う。たまに 4 、5 千円程度ギャンブルにつぎこむくらい痛くも痒くもない、なにより今の私には時間があり余ってるではないか。たまにはワルになってみるのもいいだろう。どうせ勝てないんだし少し遊ばせてもらって明るい内には家路につくとするか。

「私が昔パチンコにはまった時」

 十数年前でも当然、パチンコ台は液晶画面になってた中、唯一ドラムがくるくる回って 777 と揃う台があって、このアナログな感じが私のフィーリングにマッチしていたのだ。数カ月間での勝敗は計算するのも恐ろしいくらいになっていたと思う。奇跡的に一日で 8 万円勝ったその日をきっかけにぴったりとやめることができたのだ。パチンコは麻薬のようなもので、得るものはなにもない。

 結局ゲームセンター感覚でパチンコ屋に入った。なんと驚いたことに最新式の台として、ドラム式のフィーバーがあるじゃないか。これはなんという出会いだ。オレを待っていたのかい? 。最新だけに 15 台程しかないこの台は全部客で埋まっていた。他の台はほとんど液晶画面のヤツでしかもアニメみたいに凝ったストーリー性のありそうな台ばかりじゃないか。でもオレはだまされない、オレをそのストーリーにのめりこませて身ぐるみもろとも剥がすつもりだろうがそうはいかのき○たま。それをやってるやつらはみんな勝ってるように見える、オレも勝てるんじゃないかと思わせるつもりだろうがそうはいかのきん○ま。

 店内をぐるぐる回っているうちにドラム式の列に一台の空きを発見! すかさず座るオレ。小銭を出すが小銭を入れるところが見当たらない。代わりにお札を入れるところがある、そこに千円札を入れると下からカードが出てくる、そのカードを入れるとパチンコ台の下の方に 10 という数字が出て横のボタンを押すと一回ごとに 100 円分の玉がパチンコ台に自動的に出てくる仕組み、なんという進化。そしてその千円はというと、これまた 5 分位であっというまに使ってしまう。たまたま財布には千円札が沢山入っていたので、どんどん台の横の細長い機械に吸い込まれて行く。7 千円も入れた頃だったか、激しい銃声(ほんとに)とともに 777 と揃った、それからである、ひととうり玉が出たと思ったらドラムの横にある小さな液晶に「まだまだ続くよ」って表示された。そしてそのとおり、何度も何度も、数字や絵柄が揃った。やめたくてもやめられない状況がいつまでも続き、時計をみると、もう 5 時半。オレの椅子の周りには箱が十数個積まれていた。出なくなって 15 分程たったとき、オレは決心した。ここでやめよう、このままいたら昔といっしょじゃないか、ラストまでいたらこの箱が減っていくんだよ、そういう仕組みなのさ。一番いい時に引き上げる、それがプロの遊び方、しかもパチンコ屋泣かせの。

 玉はすべて現金に替え、7 万 8 千円程になった。

 ワルになってみるのもなかなかいいもんだ、でも、2 度とやらないぜ、この程度の金で昔の傷が消えたわけじゃないけど、オレはとっくに取り戻してんだ。

 仕事ってやつでね。

 帰る途中、新梅田食堂街の立ち飲みで 2 千 5 百円程使う。生ビールと白角水割りジョッキ 2 杯飲んだだけでけっこう酔った。阪急電車で気分が悪くなったので、高槻で途中下車するが、外の空気を吸うと元気になるが、通勤電車のオヤジの臭いはホントに恐ろしい。どこでも降りられるようにと普通電車に乗り込む私の休日。

 パチンコで取った 7 万幾らかは何か無駄なものでなくなるだろう。そういうものだ。明日からまじめに働こう、いや、働かなければならない、戦うこととはそういうことなのだ。

(ロマンザ/松山禎弘

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